女友達

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 ひょっとすると、そんなことになっても、おかしくなかったはずなのにそんなことがなかったおかげでいまだにいい関係が続いている女友達がいる。
 幼い頃には近くに住んだがたいして口をきいたこともなかった。もっとも近所に数多くいた似たような年恰好の子供たちの誰とも親しまなかったから私にとっては特別なことではない。
 中学で初めて同じクラスになって、どういう風の吹き回しか気を許すようになった。おたがい恋愛の対象は別にあったから本当に仲がよいだけの仲だった。
 相手はすでに女組のボスのような立場だったが私というあぶなげな存在に母性本能がくすぐられたものだろうか。
 すでに顔もでかいが態度もでかく、こういう人に憎まれたらさぞ怖いだろうと思われた。実際、独善的な張り切り方をする新任教師を睨み倒した実績ももっていたから私には心強い姉のようなものだった。
 彼女を紹介されたり、まあなにかと世話になったものだ。
 それでいて私を自分の恋愛対象と考えたことは一度もなかったはずだ。
 その件ではいまだに感心させられる。私なんかに関わったら苦労かたえないとわかっていたのだろう。さすがに見るべきものは見ている。
 その時々で多少の濃淡はあったが以来ずうっとそんな関係が続いてきた。
 女房とも当然旧知の仲で家に来ると、私をさておいて、更年期の話なんかに熱中している。
 その辺の芸が男にはなかなか出来ないところだ。
 数年、舅、姑の介護で大変だったらしいがようやく開放されたとかで先日、酒を呑む機会があった。
 ほろっと酔って、そういえば俺たち近所だったのに一度もお医者さんごっこなんてしなかったな、ちらっと下ねたをふると、なに、そのうちに寝たっきりになったら一度ぐらいはおむつを替えにいってあげるからとかるくいなされた。
 どうも最後まで一人前のあつかいはうけないらしい。

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