やっぱり犬が好き!?

 犬派か猫派かということであれば断然犬派だ。もっともどんな犬でもよいわけではなく、グレートデンやドーベルマンなど何か日本語で命令しても無視されそうで一歩引く。かわいい娘さんがおでこにリボンなんかつけたチワワを抱いているのを見るのは微笑ましいが、小型犬、室内犬も自分で飼いたいとは思わない。他人の趣向をとやかく言うつもりはないが私はやはりきりりと尻尾を巻いた大型の日本犬が好きだ。
 子供の頃、家では犬も猫も飼っていたから猫も嫌いではなかったのだろう。まあ猫に関してはちょっとした思い出がある。髭を切ってひどく怒られたことだ。それほど大それたいたずらの自覚はなかったが猫の髭は一度切ると元には戻らないのだと言う。髭がなければねずみを捕まえられなくなるとは知らなかった。真偽の程は確かめたことがないが猫の始末をさせられた記憶はないし、ひょっとすると一ヶ月後には髭も元に戻っていたかもしれない。とにかくいまだに憶えているぐらいだから、その時はけっこうきつく叱られたことは確かだ。それがトラウマだなどと言うつもりはない。やっぱり相性がよくないのだろう。年を取るごとに猫は嫌いになっていくようだ。

 室外犬が飼えるような状況になってからはほとんどの期間、家には犬がいる。ほとんどというのは先の犬を見送ったあとはしばらく喪に服すからだ。
 最初の犬はメスのアイヌ犬でヒミコという名は女房がつけた。名前通り気位の高いきかない犬だった。成犬になってからも譲ってくれと声がかかった。よほどのチャンピオン犬でもあれば話は別だが中型・大型の成犬に値段がつくことなどまずはない。散歩に連れて歩いても鼻が高かった。
 次に来たのがオスの秋田犬でゴンという名も女房がつけた。
 女房のご機嫌を損ねると犬は飼えないので命名権も女房が持っているが、どういう発想でヒミコだったりゴンだったりするのか、そのあたりはわからない。
 トラ毛は甲斐犬にはよく見られる毛並みだが少数ながら日本犬全般にいる。トラ毛の太刀尾というのはけっこう穿った好みで大いに納得していたが、きれいなトラ毛にはならなかった。この犬は16年、家にいたがだんだん風格が備わってきて晩年はまさに仙人のようだった。泥棒を撃退してくれたことでも感謝している。
 
 今、家には三代目のオスの秋田犬がいる。40日足らずで家に来て4年、蘭丸という呼び名は私も気に入っているが、この犬は相当変わっている。個人情報に関することなので詳しくは言えないが、どうしてうちみたいな平凡な家庭にこんなおかしな犬が育ったのか、なんとも納得のいかない気持ちだ。蘭丸とはこの先どんな物語が展開するのだろう。

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